GPIFのコロナ危機からの収益推移はV字回復
「GPIF」とは年金積立管理運用独立行政法人が「年金積立金」を運用しています。コロナ禍で世界的に株価が急落した3月には、日銀とGPIFが買い手となり、株価を支えましたが、その結果、戻り相場で大きな運用益をとれたのです。
いままで、国民の大事な年金資金を株等で運用して失敗して減ったらどうするのだという、批判が多数でしたが、今回は、4-6月期には+8.30%、12.5兆円という利益を得ています。しかも過去103兆円だった運用資産を15年間で160兆円を超える残高になっています。
「WealthNavi」のように「長期、分散、積立」で資産を増やす
ポートフォリオは2020年6月末時点で、ほぼ4当分で外国株式27.5%、外国債券21.8%、国内債券26.3%。国内株式は24.4%でかなり保守的な運用ですが、この間に15年間というと、リーマンショックも入っているわけで、「長期、分散、積立」、による運用は確かにWealthNaviでいわれるように安心できる運用方法なのだと思います。
投資主体別チャートを見てみると、黄色のチャートがGPIFと日銀が運用しているとみられる信託銀行による売り買いです。3月の株価急落の時に、一番買い向かったのは、緑色の個人ですが、黄色の信託銀行も下落の間、継続して買いを入れています。これが、大きな利益につながったと考えられます。
私も、この間で下落の時に購入したものは、投信、ETF、とウエルスナビWealthNaviすべてで利益が出ました。下がったものは必ず戻ると考え、下落の時に購入し投資を強めました。
GPIFは公的な性格が強いため、「長期的な観点から安全かつ効率的な運用を行う」ことを指針としていますから、日本でも信頼のおける大手企業や外国株ではアマゾン、アップル等の巨大IT企業などを保有していますがETFの運用も行なっています。
ETFには、指数と対話で進める「ESG投資」を実施
ESG投資とは、従来の財務情報だけでなく、環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)要素も考慮した投資のことを指します。いわば、長期的に企業価値の向上に影響する要素だと考えられています。
資本市場は、長期的に見ると環境・社会問題の影響から逃れられないため、「ESG投資」を行い負の影響を減らすことは、長期的に安定した収益を得る上で重要だと考えられているからです。
またETFによる指数取引では、GPIFが採用している指数は、以下の5つ。上の2つが、国内株を対象としたESG総合指数。3つ目も国内株対象で、女性活躍の度合いに特化した指数。下の2つは売上高当たりの炭素排出量が低い企業に着目した指数で、国内株と海外株に分かれています。
「GPIFは自身で株式投資ができない」と法律で定められているため、株式運用はすべて運用会社に委託しており、企業との対話も運用会社が行っています。
・FTSE Blossom Japan Index
・MSCI ジャパン ESG セレクト・リーダーズ指数
・MSCI 日本株 女性活躍指数(WIN)
・S&P/JPX カーボン・エフィシェント指数
・S&Pグローバル 大中型株カーボン・エフィシェント指数(除く日本)
このチャートは「女性活躍指数」のETFです。日本の会社で女性活躍指数が高い会社、いわゆる性別多様性の高いスコアを持つ会社を選んでいます。例えばリクルートホールディングス、KDDI、NTT、sony、資生堂などの組み入れウェイトが高いようです。職場において高いレベルで性別多様性を推進する企業は、将来的な労働人口減少による人材不足リスクにより良く適応できるため、長期的に持続的な収益を提供すると考えられます。結果として安全・安心につながる会社なのです。チャートを見ると、コロナによる3月の下落から順調に戻っていることがわかります。
この他にも「カーボン・エフィシェント指数」も重要です。炭素排出量が少ない企業がスコアが高いのです。まさか車がエンジンでなく、EVが当たり前になるとは信じていなかったのですが、ほんとにエンジンからEVが主流になってきました。時価総額では、テスラがトヨタを抜くまでになっています。早くから、低炭素企業に投資しておけば、運用資金は何倍にもなったのです。
GPIFから学び、安全・安心な運用を行うためには
銘柄選が最も重要ですが、ESG投資のように、ぶれない指標を持つことです。それでも、個別銘柄ではよほどの運用資金がないと銘柄に限りがあります。それを考えるとパッケージになっているETFが間違いないいでしょう。つまり「分散投資」です。
運用の基本としては、安いときに買って、高くなれば売ることなのですが、それがなかなかできないのが現実です。チャートを読めても、チャート通りには動かないのが現実です。傾向が読めても、期間がつかめず、動かなかったり、現実の急な変化によりチャートが変わる場合もあります。いつも相場を見張っているわけでないので、結局安値を買うなど、言葉でいえても、実際は無理なのです。それが、運用で多くの人が感じる、「買うと下がる」という現実なのです。これは定期的に「積立」ていくのが解決策です。
最後は、「長期投資」です。これが一番できないことですが、確かに、その通りなんですよね。あわてて、損切したものは、ほとんどがあとで、買値以上に戻っています。もう少し我慢していればと悔やむことはおおいです。
日本の株式市場は、バブル後は、なぜか右肩上がりでなく、あるところまで上がると、下がってしまうことが多く、運用により右肩上がりに資産が増えていかないのです。それに対し、アメリカはダウにしてもS&Pにしても、ナスダックにしても、右肩上がりでジワジワ上がっていくので、長期運用に安心感があるのです。そのためには、日本株だけでなく、「国際分散投資」が間違いないです。
手軽にできるのは、WealthNaviやTHEOをお勧めします。ロボアドバイザーなので、自分で銘柄を考える必要もないし、自動運用です。
株価が大きく下がった時こそ投資を始めるチャンス
安倍首相の突然の辞任で、8月28日の日本の株価は大荒れでした。アルゴリズム発注のせいで下がりすぎと思われます。なぜ、相場中にリークされたのか疑問です。国民が理解できるように、市場が閉まった3時以降に発表すればこんな結果にはならなかったと思いますが、こんな時こそが投資を始めるチャンスです。