2020年8月28日、場中に安倍辞任のニュースが流れたあと、とても素人が対応できる売り買いではないスピードで相場が上下に動いた。これこそ、アルゴリズム取引が自動で働いた結果です。しかし、このニュースだれかがリークしたのではないでしょうか。日経平均で600円ほどの上下があったのですから、下げで莫大な利益をとったものがいそうです。個人はあのスピードでは対応できませんでした。
アルゴリズム取引はあらかじめ取引手順などを組み込んだプログラムに従って高速、高頻度で自動売買を繰り返す取引のことで東京証券取引所では2010年の新株式取引システム「アローヘッド」稼働により高頻度取引が可能となったのです。
「超高速取引」「高速高頻度取引」「高頻度取引」または、英語表記「High Frequency Trading」の略で「HFT」ともいいます。
キャンセル前提の大量の注文を出すことで、他の投資家の執行コストを増やしているという批判がある一方、市場に流動性を供給し、株価変動を緩やかにするとメリットを指摘する意見もあります。
どんな手口で行っているかというと
市場にきづかれないようにカムフラージュして注文を出す方法ですが。これはよくあります。板を見ていると、自分が一番最初に並んでいるはずなのに、ないはずの注文がどこからかでてきて、先に執行してしまう例がそうです。例えば、どこからか売り注文が入ると、それをコンピューターが自動で発見し、超高速で先に注文を入れてしまうことです。この場合注文そのものが板に存在しません。歩み値で確認するとわかります。
安倍辞任の場合は社会の動きや異変、経済指数の発表といったニュースを監視するコンピュータが、取引に必要な情報が出たときに即座に反応し、自動的に注文を出す手法です。地震速報で一定の震度以上の数値が出たら売り、ある企業で業績アップが報じられたら買い、といったことを即座に行うことで、機会損失を減らすのが目的です。
キャンセル前提の大量の注文を出すことです。これも板を見ているとよくあります。その値段で売買いするつもりがないのに、大きな注文を出し、相場を動かそうとしたり、値上がりしないように上値にふたをかぶせたりします。その値段に来ると、高速でできる前に消えてしまいます。
大量の売買を行う時に、そのまま出すと、株価が崩れると判断されるときに、売買注文を分割して出す仕組みです。アイスバーク注文といいます。まず、上値に大量の売りの見せ板を出し、それを見た一般投資家たちが、買いあがらず、売りに回るように仕向けます。なんども少額で購入し、球を集めます。だましの手口そのものです。
いずれにしても、一般投資家には手におえません。これに対し
市場価格の急激な乱高下を引き起こす
個人投資家が全く太刀打ちできず不公平である
との批判がありますが、欧州では、2018年1月からアルゴリズム高速取引を行う投資家を登録制とし、実効的な体制整備・リスク管理義務や当局に対する通知・情報提供義務を課されるようになりました。日本においてはまだ規制はありません。しかし、どう見ても相場操縦をしているように思えます。
安全・安心な投資のためにはこのような仕組みに騙されないため仕組みを理解することをおすすめします。
日本唯一の高速取引(HFT)業者に謎の集団と言われる「ダルマ・キャピタル」があります。ガイアの夜明けでも紹介されましたが、最速コンピューターを、兜町の近くでアルゴリズム運用し10円単位での売り買いを多数繰り返し、他よりもナノセコンドの差で早く買い、早く売るという手法だそうです。
投資家は、板の下に大きな買待ちがあると安心して買うことが多いと思いますが、その板は急に消えたり入ったりするのです。いわゆる見せ板です。上にあれば売りたくなるし、下にあれば買いたくなるのが投資家の常です。買い板を出しておいてその下で持ち株を売り抜け、買い板に値が近づくと高速で消すという手法が考えられます。
福岡証券取引所で、市場を活性化する目的でこのアルゴリズムを活用すると言っていましたが、もともと注文がなく動かない市場に、このような手法をとりいれて板を活性化するそうですが、実際の取引でなく、架空の売り板、買い板を並べて、実際の売り買いはできていなにのに、にぎわったように動かすつもりなのでしょうか?これって取引所公認ならゆるされるのでしょうか。個人投資家としては疑問を感じます。
一方で個人でもアルゴ取引ができる証券会社もあります。楽天証券の「マーケットスピードⅡ」がそうです。
マーケットスピードⅡでできる取引手法は
アイスバーグ注文
スナイパー注文
トレイリング注文
リザーブ注文
リンク注文
その他ザラバヒートマップ表示
チャート機能の充実
等個人でもかなりのアルゴ取引ができます。
トレイリング注文はすごいですね
売りでは株価が下落した場合には逆指値で売却し、上昇した場合には売却する価格を自動的に切り上げ、株価の値上がりに追従することが可能になります。買いの場合は売りとは逆に、株価の値下がりに追従することが可能です。場に張り付いていないでも、自動で良い条件での売り買いができる仕組みです。
個人投資家も、今まで通りのやり方では、プロのハイテク取引にひっかかり損失を出すだけですが、自衛策として導入するのはいいかもしれません。